19600321-05

Bye Bye Blackbird
(M.Dixon - R.Henderson) 
(13分50秒)



【この曲、この演奏】

 「コメディアンのエディ・キャンターやダンカン・シスターズが歌ってヒットした古い流行歌」であるこの曲は、マイルスが取り上げたことで、ジャズ界のスタンダードになりました。(資料14)

 マイルス・グループでお馴染みの曲であり、スタジオ録音では1956年6月5日のものが、名盤「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」に収録されています。またライブでも何度も演奏され、特に1958年7月3日のニューポート・ジャズ祭のものは、公式発売されています。

 コルトレーンも自分のバンドのライブでこの曲を取り上げており、特に1962年の欧州ツアーでは定番曲となっていました。

 マイルス・グループの1960年春の欧州ツアーでも、初日にこの曲が演奏されています。


 朗らかにゆったりとした歩みを確かめるかのマイルスのテーマ演奏があり、1分過ぎからはアドリブとなり、合わせて5分近い演奏です。この曲に乗り切れないマイルスの姿の5分間ですが、これもこれでブートレグの魅力といったところでしょう。

 対照的なのはこれに続くコルトレーンの6分間のソロです。思い描いた絵の色彩が変化していくさまを吹き続けており、5分過ぎからの会場の熱狂ぶりは凄いものです。

 ケリーのソロがあり、再びのマイルスが「やられたな」との感じでテーマを演奏して終わっていきます。



【エピソード、正直なジョン、目隠しテストに答える その4】

 レナード・フェザーがコルトレーンに試みたブラインドフォールド・テストが、「ダウンビート」誌 一九五九年二月十九日号に掲載されている。


コールマン・ホーキンスの「チャント」(リヴァーサイド盤)

トランペット = イドレス・スレーマン。トロンボーン = J.J. ジョンソン。ピアノ = ハンク・ジョーンズ。ベース = オスカー・ペティフォード。


コルトレーン

 この曲は本物のジャズ・フィーリングを持っている。コールマン・ホーキンスっぽいサウンドだ・・・トランペットはおそらくクラーク・テリー。いや、やっぱり分からないな。トロンボーンは素晴らしいが、奏者はわからない。ピアノもとてもうまい。敢えて言うなら・・・ハンク・ジョーンズだ。ベースはオスカー・ペティフォードっぽい。そしてビーン(訳注 = コールマン・ホーキンスの愛称の一つ)。彼は唯一無二のプレイヤーだ。この曲のプレイもの良かったが、少し物足りない。彼にはつい高望みをしてしまうんだよ。

 私がジャズを聴き始めたとき、ビーンよりもレスター・ヤングを聴いた。ホーキンスを聴いたときは、いいとは思ったが、レスターほど熱心には聴かなかった・・・当時はベイシー楽団がすべてだったからかもしれない。

 私はレスター・ヤングを通過してチャーリー・パーカーにのめり込み、それから他のプレイヤーを聴くようになった。ビーンを聴いてわかったよ。私の聴いてきたミュージシャンたちに与えた影響の大きさがね。星三つ半だ。


(資料04よりその表記の通りに引用)



【ついでにフォト】

tp05049-044

2005年 香港 


(2023年5月22日掲載)