19670001-01

Expression (John Coltrane)  (10分49秒)



【この曲、この演奏】

 コルトレーンの最後のアルバムとなっていた「エクスプレッション」がありますので、この曲の存在は有名なところでしょう。もちろんこのアルバムは、コルトレーンが生前に発売を承認した作品(資料07)なので、「コルトレーン最後のアルバム」との表現は今でも正解なのでしょう。

 さて演奏ですが、コルトレーンのテナー・サックスによる2分半を超えるテーマで始まります。静かに美しく、それでいながら人間の内の姿をメロディにし演奏する、この時期のコルトレーンはこれを極めているなと実感する内容です。資料09にある「彼の死後、数多くの後継者が名乗りをあげたが、さすがにこの時期のコルトレーンの音楽を受け継ぐ者はひとりもいなかった」との記述に納得する演奏内容です。

 これにアリスのピアノが2分半強演奏し、再びコルトレーンのテナー・サックスに戻ります。激しくありながら穏やかさを取り戻そうともするコルトレーンの姿は、素晴らしいものです。今回このコーナーのために改めて聴いてみて、「表現とは心の迷いを描くことだよ」とコルトレーンが語りかけてくれたような気持ちになりました。

 この演奏はアルバム「エクスプレッション」に収録され、1967年9月に発売されました。



【エピソード、このセッションの日付】

 この1967年にコルトレーンが行ったスタジオ・セッションの日付は次の通りである。

2月15日、2月22日、2月27日、3月7日、3月29日、5月17日

 この6回のスタジオ・セッションは全てヴァン・ゲルダー・スタジオでのものだった。

 アルバム「エクスプレッション」に収録された「エクスプレッション」は、当初は2月15日か3月17日(?) とされてきたが、デイヴィッド・ワイルドによるABCパラマウント書類の調査により、この曲の正確な録音日の証拠が確認できなかった。上記の2月と3月の5回のセッションのいずれかの日に「エクスプレッション」は録音されたはずであるが、その日についての調査はまだ続いている。(以上は資料07から)



【ついでにフォト】

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2008年 臨港パークから瑞穂埠頭


(2021年9月30日掲載)