19650826-14

Sun Ship (John Coltrane) (6分12秒)



【この曲、この演奏】

 コルトレーン・バンドの高速回転絶叫演奏のアドリブの場面を曲にしたかの「Sun Ship」、この曲名での演奏記録は本セッションだけです。

 テイク1がブレイクダウン、テイク2は最後まで演奏、テイク3は挿入用の演奏、さらにも一度最後まれ演奏したテイク4を、このセッションで録音しています。

 AS-9211 「Sun Ship」に収録されたこのマスターは、テイク4にテイク3を挿入したものです。

 その演奏ですが、コルトレーン、ギャリソン、エルヴィンの三人での壮絶な勝負という内容であり、高速回転絶叫演奏の真髄ここにありというものです。

 マッコイのピアノには二分間のソロ・スペースが与えられており、その部分だけを切り取ればそこそこの演奏内容です。しかしながらコルトレーンとエルヴィンが暴れまくっている中では、マッコイはピアノを弾いているものの、存在の必要性を感じないものです。

 この曲でのスリル感が今後のコルトレーン・バンドの方向性の一つになっていくだけに、マッコイはこの演奏で感じるところが多かったのではと想像します。



【エピソード、1965年にダウンビート誌で三冠】

 一九六五年、ダウン・ビート誌は、読者人気投票でジョン・コルトレーンを「ジャズマン・オブ・ジ・イヤー」として、「名声の殿堂」に選出し、テナー・サキソフォン部門第一位、「至上の愛」が「年度代表レコード」に選ばれた。同誌主催の国際批評家投票もテナー部門第一位となった。ちなみにソプラノでは第二位だった。

 ここにかなり興味深い資料がある。国際批評家投票の内訳である。それは地元の北米大陸と外国の別になっている。こういう数字だ。テナー部門でトレーンに投票したアメリカとカナダの批評家は、二十九人のメンバー中わずかに九人(31%)となっている。これがヨーロッパ各国の批評家となると、十一人中、七人(64%)がコルトレーンをテナー部門の第一人者に指名しているのである。

(資料01より)



【ついでにフォト】

tp13045-140

2013年 みなとみらい


(2021年7月30日掲載)