19650319-01

Chim Chim Cheree (R & R. Sherman)
(19分15秒)



【この曲、この演奏】

 A(S)-85との規格番号で1965年8月に、コルトレーンのインパルス!第11弾として発売された「The John Coltrane Quartet Plays」に収録された、この1964年のミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の劇中で歌われた曲が収録されています。その演奏は1965年5月17日にスタジオ録音されたものですが、2月17日のスタジオ収録でもこの曲が演奏されました。しかしながら2月17日の演奏は、未だに発売されていません。

 その二つのスタジオ収録の中間であるこの3月19日のハーフノートで、この曲が演奏されました。記録がある限りでは、この曲がライブで演奏されたのは、この3月19日だけです。

 さて演奏ですが、コルトレーンがソプラノで入っていくテーマの冒頭部分が少し録音されていません。演奏はすぐにアドリブを交えて、5分半ほど続いていきます。それは不思議な世界に迷い込み必死にもがいているようなコルトレーンであり、表現者の凄みをも感じるものです。

 続いては6分のマッコイの、工夫したアプローチが印象に残るソロとなります。そして再びソプラノのコルトレーンのソロとなり、7分半続いて終わりとなります。ここでのコルトレーンは静かに入っていき祈りの姿で演奏を進め、徐々に激しさを加えていきます。

 なお最後のドラムスによる終わりですが、フェードアウトとなっています。



【エピソード、ハーフノート出演】

 コルトレーンは1965年に次の2回、ハーフノートに出演した。

3月19日から4月4日
5月4日から9日

 3月19日から4月4日の出演期間中の演奏の中から、3月19日・3月26日・4月2日の三日間のものが、ラジオ局 WABC-FM 95.5 で Alan Grant がホストを務める Portraits in Jazz という番組で放送された。それらはブートレグで、そして公式のような形で発売された。(私は残念ながら4月2日の演奏は持っていない)

 なおこのハーフノート出演中の3月28日、コルトレーン・バンドはヴィレッジゲイトに出演した。それは、黒人ジャズ・ライターのリロイ・ジョーンズが黒人音楽家の地位向上を目的として主催した”ブラック・アーツ・レパートリー・シアター”基金の為の”ニュー・ジャズ・コンサート”がN.Y.のクラブ”ヴィレッジ・ゲイト”で行われたものだ。



【ついでにフォト】

tp04012-027

2004年 香港 


(2023年2月27日掲載)