19630306-10

Impressions (take3) (John Coltrane)
                                  (4分30秒)





【この曲、この演奏】

 この3回目の演奏では、マッコイのピアノがお休みとなっています。

 トリオでの演奏となり、コルトレーンの演奏にスムーズな繋がりがあらわれ、凄みと共に良い演奏となっています。これならインパルス!での正式発売に入れられる水準と言えるものです。



【エピソード、バーバラ・ガードナーの記事 その2】

 物静かで内省的な、人生で一度もテナー・サックスをプレイしたことがなかった二十一歳のミュージシャン、ジョン・コルトレーンは、テナー奏者としてエディ・ヴィンソン(通称”クリーンヘッド”・・・つるつる頭)に雇われた。当時ヴィンソンのバンドにいたピアニストのレッド・ガーランドの紹介だった。コルトレーンは、自分はアルト奏者だと言ってやんわりと辞退したが、結局は特に心に傷を負うこともなくテナーに転向した。

 今日の音を詰め込みまくるソロイストの姿は、シャイで奥手な一九四〇年代後半の楽器プレーヤーの姿とはまったくもって対照的だ。

 「ああ、コルトレーン坊やならおれのバンドにいたよ」と、ヴィンソンは父親のような笑みを浮かべて当時を懐かしむ。「あいつは絶対にプレイしたがらなかった。あの頃はプレイがオールナイトになる日もあって、おれはあいつに、おい、吹いたらどうだ? と訊いた。そしたらあいつは言ったよ、僕はただあなたのプレイが聴きたいだけなんですってね」

 部分的には心から憧れていたからこそ、この新人はプロの前で演奏をためらったのだろう。だが、大筋においてこうした消極的姿勢は、何よりもまだ彼が発展途上にあったことの裏付けである。それは彼だけが知っていることだった。彼の初期のプレイの中には、個性や独特の創造性といったものがほとんど感じられない。

(資料04より)



【ついでにフォト】

tp05051-032

2005年 香港島 トラム

(2021年4月11日掲載)