19590326-08

Giant Steps
(Take 8, Alternate Version)
(John Coltrane)   
(3分44秒)



【この曲、この演奏】

 このセッションでの8回目のGiant Stepsとなります。

 さてこの曲のコルトレーンの演奏記録ですが、資料06を見ますと、セッション数で言うなら7回となります。最初が本セッション、2度目が5月5日のスタジオ・セッションで、ここでの演奏がアルバム「ジャイアント・ステップス」に収録されました。残りの5回は全てライブでの演奏です。3回目はこの年1959年の8月か9月のNJでのライブで、リー・モーガンとウェイン・ショーターが参加してたとのことです。4回目は先に触れた9月のバードランドでのライブで、シダー・ウォルトンとトミフラが参加してのものです。5回目は1960年7月19日、6回目は7月22日、共にショーボートでのライブで、マッコイ・タイナー、スティーブ・デイヴィス、そしてピート・ラ・ロカが参加しての演奏です。ここまでの4回のライブについては、音源は内容です。演奏記録最後となる7回目は、1962年11月17日のパリでのライブで、黄金カルテットでの演奏であり、こちらは私家録音の存在が確認できているとのことですが、世には出ておりません。

 さて本セッションでの8テイク目のこの演奏ですが、ピアノは随分とコルトレーンに寄り添えるものになってきていますが、チェンバースのベースのようにはいかないようです。ピアノにソロが与えられていないことから、バッキングだけで精一杯だったのでしょう。ドラムも頑張りは分かる演奏になっています。コルトレーン自体はスピード感と表現の広がりに、充実感を確かに感じる演奏です。

 しかしながら自分が考えている、自分のバンドでの温めてきたこの曲の演奏という意味では、コルトレーンの満足には至らなかったのでしょう。



【エピソード、本セッションの録音日】

 長らく本セッションは、1959年4月1日の録音とされてきた。初めて本セッションの演奏が世に出たのは、「Giant Steps」、「Naima」、そして「Like Sonny」のOKテイクを収めて、1975年にアルバム「Alternate Takes」であった。そこに4月1日とクレジットされていたのだ。

 1983年発行の資料09、1995年発行の資料06にも4月1日とクレジットされている。

 1995年にRhino-Atlanticより、「The Heavyweight Champion john coltrane」というCDボックスが発売された。これについては後日に詳細を記すが、この中で録音日は3月26日とされていた。そこでは新たな書類が見つかったと書かれており、言わば公式に訂正されたことになる。

 2008年に資料06の改訂版(資料07)が発売されたが、そこでは3月26日と、本セッションの録音日が訂正されている。

 しかしながら世に多くあるコルトレーン資料、1995年の公式訂正以降に作成された資料の中には、本セッションの録音日を4月1日としているものが散見される。



【ついでにフォト】

tp09025-063

2009年、みなとみらい


(2020年3月31日掲載)