19580307-05

Big Paul (Tommy Flanagan)  (14分5秒)



【この曲、この演奏】

 トミー・フラナガン作のラフなブルース曲で、私に想像ではスタジオでサッと書き上げた曲だと思います。この曲のコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。

 足取り軽やかなチェンバースのベースで始まり、トミフラのピアノが存分に披露されます。その後にコルトレーン、そしてバレルの登場となり、ジャム・セッションの魅力が詰まった14分となります。この手の演奏ですので統一感は望めませんが、各自の個性を堪能できる内容になっています。



【エピソード、A.ブルームのインタヴュー、1958/6/15、その4】

(JC=ジョン・コルトレーン、AB=オーガスト・ブルーム)(資料04)


AB 失望した?

JC ああ。

AB どうして?

JC 失望とは違うかも。うまく言えないが、いろんな宗教があることを知って、それらがどこかで他の宗教とは相反しているわけで、まあ、頭がこんがらがってしまったんだ(笑)。よく分からないが、ちょっと混乱したんだよ。それにどうしても信じられなかった。すべての・・・たった一人の男が言っていることが正しいだなんて。だって、彼が正しいなら、他の人は全員間違っていることになるだろう?

AB ああ、彼が正しいなら・

JC それに、彼が正しくない場合だってあり得るだろう?

AB その、もしかして、すべての宗教は互いに結びついているんじゃないかって思ったことはないかい? というのは、彼らが何を言い、何を考えようとも、彼らの宗教は根っこの部分では、実はその隣の男、さらにまた隣の男の信じていることにつながってるんじゃないかと思うわけだ。歴史や時間、それに信仰の徒たちを通じて宗教が伝えようとしてきたのは、自分の信じていることこそが正しく、相手は間違っているっていうことだろう? それだって実は私自身をこう呼ぶって程度の違いでしかなくて、言わば、宗教の顔を変えてきたにすぎない。となると、基本的な部分はまったく変わってないんじゃないかって?

JC そうだな。そうした基本的な部分が人々を一つにまとめるんだと思う。「よし、一緒にやるか」っていう人が出てくればいいんだろうな。

AB 言い換えれば、世界共通の宗教のようなものが出てくればいいと? 細かい違いだらけの、信仰が違うからといって相手を殴るような宗教ではなく?

JC ああ、そうあるべきだね。そういう宗教があって然るべきだよ。


【ついでにフォト】

tp08068-062

2008年、みなとみらい


(2020年1月29日掲載)