19580207-04

Good Bait (Dameron - Basie) (12分7秒)



【この曲、この演奏】

 作曲家として、そして編曲家として1940年代から活躍していたピアニストのタッド・ダメロンが作った有名曲であり、ガレスピーの演奏で有名な曲となりました。

 資料07によれば、コルトレーンのこの曲の演奏記録は5回あります。ガレスピー時代に2回、1951年の1月13日と2月3日にライブで演奏し、この二つは私家盤で世に出ました。その後に本セッションで7年ぶりの演奏となり、また正式録音、スタジオ録音との見方では、本セッションだけの演奏記録となります。その後はコルトレーン・バンドでこの曲を2回取り上げました。1960年7月のライブで、メンバーはマッコイ, デイビス, ラロッカです。1963年8月のライブでは、黄金カルテットでこの曲が演奏されました。1963年8月の演奏は2006年にブートレグで発売されました。

 さて演奏ですが、テーマでは口ずさみたくなる印象的な魅力あるメロディを、きっちりと表現するコルトレーンです。そしてアドリブでは、持っている力の全てを注ぎながらのコルトレーンの演奏ですが、それでいてテーマとの関連も感じさせる演奏です。この時期のコルトレーンの充実ぶりが、しっかりと感じられる演奏です。



【エピソード、ポール・ジェフリーの話】

 1956年の終わり頃、私はコルトレーンとボヘミアで会った。その頃、コルトレーンはロリンズと一緒にマイルスのバンドで仕事をしていた。私はロリンズのスタイルをよく知っていたが、初めて聴いたコルトレーンにはすっかり驚かされた。私はロリンズがテナーの巨匠とつねづね考えていたが、コルトレーンはもっとはるかに素晴らしい才能を持っていた。彼はロリンズの美しいメロディの独奏を受けて、かつて私が一度も聴いたことのない奇妙な、きわめて回施状のハーモニーとコード進行の独奏をやった。休憩になったとき、私は彼と話すために舞台に上がった。「君がポール・ジェフリーか、噂はよくきいている。ちょっと裏へ行かないか」と彼が言ったので私は付いて行った。ところが彼は自分の楽器を私に渡して言った。「君の演奏を聴かせてくれないか」私は緊張のあまり指をキーに当てるのもうまくゆかないくらいだったが、まあなんとかやってのけた。彼は自分の住所を私に教えてくれ、いつでも遊びに来てくれと言った。(資料01)



【ついでにフォト】

tp09072-178

2009年、ペナン、マレーシア


(2019年12月28日掲載、改訂2022年10月26日、2022年11月23日)