19580207-01

Russian Lullaby (Irving Berlin) (5分33秒)



【この曲、この演奏】

 アメリカの代表的作曲のアービング・バーリンはロシア出身の方で、その彼が子供の頃を思い出して作詞・作曲したのがこの曲であり、1946年の映画「ブルー・スカイ」で使われた曲でもあります。(資料14)

 この曲のコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。

 さて演奏ですが、資料11のカール・ウォイデックの記述を引用します。

 「このアレンジ中、唯一ララバイの風情が残されているのは、ガーランドのソロのイントロとコルトレーンの短いコーダの部分だけ」

 「その間にあるのは、コルトレーンの最も斬新な、型にはまらぬソロの多くはマイナー・キーの曲であったことを思い起こされる、胸のすく怪演である」

 「ちなみに、この演奏から、アイラ・ギトラーは、コルトレーンのメロディ・ラインに対するアプローチを、シーツ・オブ・サウンドの名前で呼ぶことを思いついたのだった」

 最初のガーランドがゆったりと、しかしその後のテイラーの高速シンバル、そしてコルトレーンの登場、そのコルトレーンのソロは高速ながらも歌心あるもの、そんな演奏に私は惚れてしまします。

 ここでの素敵な演奏により、それ以降「Russian Lullaby」はジャズ界でしばしば取り上げられるようになりました。



【エピソード、本セッション】

 この2月7日の金曜日、ヴァンゲル・スタジオで最初に演奏を始めたのは、チャンバースとテイラーでのガーランド・トリオだった。そこで6曲を収録したが、長らくお蔵入りとなっていた。「It's A Blue World」とのアルバム名でこの時の演奏5曲が世に登場したのは、1971年のことだった。(資料11、ウィキペディアでは1970年12月としている)

 ガーランド・トリオでの演奏が終わったところで、そこにコルトレーンが入って、ヴァンゲル・スタジオでこの日2度目のセッションとなったのが、本セッションである。5曲演奏され、その全てが「ソウル・トレーン」というコルトレーンのリーダー作として、1958年に世に出たのであった。

 アルバムには「John Coltrane with Red Garland」とクレジットされているが、その内容は双頭バンドではなく、コルトレーンのリーダー・セッションと言えるものである。

 コルトレーンの初のワン・ホーンのリーダー作が、この日に吹き込まれたのだ。



【ついでにフォト】

tp09070-020

2009年、ペナン、マレーシア


(2019年11月29日掲載)