19580110-01

Lush Life (Billy Strayhorn)   (13分54秒)



【この曲、この演奏】

 この名バラッドについて、資料11に次のように書かれている。

 ビリー・ストレイホーンの「ラッシュ・ライフ」がモダン・ジャズのミュージシャンにとりあげられることが少ないのは、アドリブの素材として容易に変形しにくいためであろう。クロマチックのそのコード進行は研究を要し、また曲自体が、コーラスに入る前にヴァースを演奏しなければならない構成になっている。

 さて演奏ですが、コルトレーンの代名詞の一つであるバラッド演奏は、ここにきて風格すら出てきています。マイルスの元を離れて1年弱の活動で、その形が完成されてきています。じっくりとテーマを愛しての演奏、そして力の入れ方を少し変えてのアドリブへの突入していく姿は素敵なものです。またガーランドとのコンビでの成熟も加わっているのでしょう。ドナルド・バードはコルトレーンの演奏に妙に影響を受けたのか、戸惑いを見せる演奏でソロに入っていきますが、後半にはなかなかの演奏です。

 再び資料11ですが、次のようにあります。

 コルトレーンと一団は、このバラードを延々、情感を込めて演じている。この演奏と、コルトレーンが後に歌手のジョニー・ハートマンと共演したヴァージョンが一助になって、この曲は次の世代に生き延びることとなった。

この曲は、コルトレーンの二つの演奏が圧倒的な出来と言えるのでしょう。資料14には、この曲の代表演奏として、コルトレーン以外に10曲掲載していますが、それらはコルトレーン以降のもの。資料11にある通り、コルトレーンの演奏によってジャズ界での名曲になっていった曲です。



【エピソード、このセッション】

 コルトレーンが、ガーランドとドナルドバードとのクインテットで録音に臨むのは、これで3回目である。最初は前年の11月15日であり、2度目は12月13日のことであり、プレスティッジへのセッションだ。この二日間に収録された15曲は、ガーランドのリーダー作として発売された。

 そして3度目となる本セッションでは5曲が録音され、コルトレーンのリーダー作として3作に分かれて発売された。それらはLP7188のラッシュ・ライフ、LP7292のビリーバー、そしてLP7378のザ・ラスト・トレーンである。

 なおガーランドとバードとのクインテットで、この年の5月にコルトレーンのリーダー・セッションを行なっている。それがコルトレーンとバードの最後の共演記録になる。(資料06)



【ついでにフォト】

tp07014-065

2007年、アムステルダム


(2019年11月9日掲載)