19571220-05

Paul's Pal (Sonny Rollins)  (7分14秒)



【この曲、この演奏】

 このロリンズ作の曲は、ロリンズが1956年5月24日のプレスティッジでのセッションで演奏した曲です。そのセッションにはコルトレーンも加わるのですが、この曲ではコルトレーンは参加しませんでした。それから1年半後のこのドレイパーのセッションでコルトレーンはこの曲を演奏することになるのですが、資料06によるとコルトレーにはこの曲の演奏記録がもう一つあります。それは1958年9月25日のジョー・ブラジルのセッションでした。

 微笑ましい雰囲気での演奏です。テーマではドレイパーはコルトレーンの引き立て役に徹し、そのコルトレーンはロリンズのようなおおらかな演奏です。ソロのコルトレーンも、彼のスタイルですが微笑ましいもあるものです。ドレイパーも演奏の雰囲気をしっかりと理解した演奏です。強いて難を言えば、テーマとコルトレーンのソロの間にあるピアノのソロ。前半はここぞとばかりに頑張りますが、後半はネタ切れのご様子です。

 微笑ましいコルトレーンも良いもんだ、と感じる演奏です。




【エピソード、1953年 ボスティック楽団からホッジス楽団へ】

 コルトレーンが自分を救ってくれたボスティック楽団を辞めた理由ははっきりしない。1953年にコルトレーンは1953年に、エリントン楽団を辞めて自分のバンドを率いていたジョニー・ホッジスのもとで演奏を始めた。

 このホッジス時代のコルトレーンは、薬漬けの日々であった。その中でもコルトレーンはホッジスから学ぶものが多くあった。

 最も貴重だったホッジスから学んだことは、音の抑揚であった。ホッジスは一つ一つの音を引きのばして演奏し、それぞれの音がまるで女であるように、そのすべてを愛し、差別などとてもできないかのように一つ一つの音をやさしく愛撫しているのをコルトレーンは耳で確かめた。例えば、ホッジスが「ウォーム・ヴァレー」を演奏する時、コルトレーンは、その指使いを眼で追いながら。自分の楽器でなぞっていた。もちろんマウスピースに息を吹き込まずそっと指を動かすだけだった。(資料01)



【ついでにフォト】

tp06008-060

2006年、香港


(2019年11月4日掲載)