19571213-05

Lazy Mae (Red Garland)   (16分8秒)



【この曲、この演奏】

 この曲はガーランド作のブルースで、コルトレーンもガーランドも本セッションだけでの演奏記録です。(資料06,08)

 この手のゆったり長尺リフ・ブルースは、下手するとウダウダ演奏に終わってしまいますが、流石はこのメンバーですので、存在感あるウダウダ演奏になっています。ガーランドが8分、コルトレーンが3分、そしてベースにも2分、トランペットに2分、最後に再びガーランドの登場となっています。最後のガーランドのソロは、1分ほどのものですが、レコード化ではフェイドアウトなので、実際には3分ほど弾いていたのでは。

 この中で個性を示す方々はやはり流石であり、この演奏でガーランド愛好家の間でいわれている「ガーランドのマラソン・セッション」は終了となります。



【エピソード、サンドルからの教え、1951年】

 コルトレーンは毎日学校に行ったし、週末はできる限り演奏の仕事をするようにしていた。熱心な練習を行うかたわら、ガレスピーやバンド仲間にいわれた本も読んでいた。

 学校でコルトレーンは、ラステリとはレッスン以外では親しくならなかった。しかしサンドルとはいろんな話をした。

「クラシックを聴くんだ、ジョン」

「偉大な作曲家たちがバイオリンの独奏曲から交響曲にいたるまで、あらゆる楽器を使った曲を書いている。君はまずその技法を聴き取るんだ。次には、そのエッセンスを抜き出して、君の愛する楽器、サキソフォンに移し変えてみるんだ」

 コルトレーンはサンドルからのこの助言を素直に受け入れた。そんな中でコルトレーンが「自分がたくさんの楽器がひしめく海のただ中で泳いでいて、それら音楽の波が自分を高くのせて岸に打ち寄せるような感じがした」と行ったところサンドルは、「すばらしい」「だがその中で弦楽器群がどんな役割を果たしていたかわかるかい」とコルトレーンに質問した。困り顔のコルトレーンにサンドルは、「弦楽器は連続する倍音を巧みに使って、高音域で拡大された調整を演奏しているんだ。テナーの場合に、君は全ての七度音コードを十三度音に拡大するのとまったく同じことだ。こうしてコードの高さはますます高くなる。君だって同じことをしているはないか」と言った。

 この後も幾つかの会話が続いた後にサンドルはコルトレーンにこう言った。

 「君が他のサックスを吹くのをきいてみたい」「ソプラノがいい、ジョン」「よく考えてみるんだ」(資料01)



【ついでにフォト】

tp05005-104

2005年、香港


(2019年10月30日掲載)