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Eclypso (Tommy Flanagan)  (7分57秒)


【この曲、この演奏】

 曲名の意味については、web上に「Eclipse (日食や月食の"食"の意味)」と「Calypso (カリプソ。20世紀にカリブ海で起こった4分の2拍子の音楽」をミックスした造語、と解説しているページがあります。

 作者のトミフラはこの後もこの曲を長年に渡り演奏しており、特にこのセッションから4ヶ月後の録音、12吋盤としては「オーバーシーズ」でも演奏しています。

 コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。(資料06)

 さて演奏ですが、トミフラが提供したカリプソの空気感を、メンバー全員で楽しんでいる演奏です。確かにトミフラ、シュリーマン、コルトレーン、そしてバレルと続くソロ回しの繋ぎ目に野暮ったさと感じるものがありますが、本音で楽しんでいるキャット達とも感じます。

 カリプソを楽しむコルトレーン、これだけで存在感あるものです。


【エピソード、このセッションについて】

 プレスティッジお得意のオール・スターズ・セッションですが、シクステットでの演奏の4曲はトミフラ作、ピアノ・トリオの曲も1曲あることから、リダーはトミフラと考えて間違いないでしょう。(資料09,11)

 ヴァンゲル・スタジオを毎週金曜日に確保してレコーディングを行っていたプレスティッジですが、この1957年4月18日の木曜日からプレスティッジはヴァンゲル・スタジオで3日連続のレコーディングを行いました。各資料にはその理由がありませんが、3日間共通のメンバーはコルトレーンだけなので、コルトレーンが3日間セッションの理由なのかもしれません。

 ジャズマンを表す俗語をアルバム・タイトルにして、そしてジャケではトミフラの名前を頭にして、本作品はプレスティッジの傍系レーベルのニュー・ジャズから発売されました。しかし後年には「Kenny Burrell - John Coltrane」とのタイトルでプレスティッジから再発されました。(資料06)

 資料11では、このセッションでのコルトレーンを酷評しています。また、このセッションをアルバムにした「The Cats」を、ダウンビートは非常に低い点数を付けたとのことです。しかし日本のジャズ愛好家は、この「The Cats」を非常に愛しています。日本では、未だに高い人気を誇っている作品なのです。


【ついでにフォト】

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2007年、みなとみらい


(2019年5月28日掲載)