19561130-04

Super Jet (Tadd Dameron)   (5分54秒)

【この曲、この演奏】

 「ジェット機を超えるもの」とタイトルを解釈しましたが、字引を開きますと「jet」には「噴出する」との意味がありました。さらに「jet」には「黒玉色、漆黒」の意味もあるのです。「黒玉色、漆黒」はこれ以上ないほどの黒色なのですが、それを超えるというのがこの曲名が意味するものなのでしょうか。

 資料06に、興味深いものが掲載されています。ボブ・ワインストック手書きの当セッションのログ・ブックなのですが、この曲は「HI TRANE」と書かれています。それに取り消し線を引き、下に「Super Jet」と書いております。「ハイ、トレーン」とは深読みのしようがない直接的な題名ですので、ダメロンがコルトレーンの存在を考えて書いた曲なのでしょう。

 演奏はアップ・テンポでブロー・アップし合う、刺激的な演奏が楽しめるものです。


【エピソード、スティール牧師の下での演奏】

 「ジョンと私は、スティール牧師のコミュニティ・バンドで一緒に演奏した。二人ともアルト・サックスを手にして並び、演奏に参加した。スティール牧師はわれわれのスカウト隊長であったので、バンド結成のときにボーイ・スカウト隊全部を最初にバンドに入れようとしたのだ」 ジェームズ・キンザー


 「スティール牧師がジョンをクラリネット奏者に転向させたとき、私はジョンの隣にすわってアルト・サックスを演奏していた。牧師は何本かの余分なクラリネットを持っていたのだが、バンドの最高の演奏者にしかそれを吹かしてくれなかったのである。ジョンは手渡されたクラリネットを早速試しに吹いてみて気に入ったようだった。彼はクラリネット曲として作曲された楽譜を買ったが、それは当時流行していた<二本の青い蘭の夢>だった。二、三週間後、彼はその曲を一生節ごとに演奏していた。それはアーティ・ショーの編曲で、ショー自身がクラリネットを演奏する曲だった。ジョンがその曲を演奏してさえいれば、彼がどっちの方からやってくるかがすぐわかったくらいだ」   ジョン・イングラム

(以上、資料01より)


【ついでにフォト】

19561130-04

2005年、香港


(2019年3月27日掲載)