19560915-03

It Never Entered My Mind
(Rodgers - Hart)  
(5分2秒)



【この曲、この演奏】

 1940年のミュージカル「ハイアー&ハイアー」の主題歌であるこの有名スタンダードで、コルトレーン参加のマイルスとなれば、1956年5月11日のマラソン・セッション前半での演奏であり、アルバム「ワーキン」に収録されたものでしょう。それは素敵な演奏なのですが、コルトレーンとなると最後の最後に微かにひと吹きしただけでした。

 その3ヶ月前となる2月18日のパサデナのコンサートでもこの曲が演奏されていますが、そこでもコルトレーンは最後にほんの少し吹いているだけです。

 さてパサデナから7ヶ月、マラソン前半から4ヶ月経ったカフェ・ボヘミアでのこの曲の演奏ですが、ここでもコルトレーンは最後の瞬間にテナー・サックスを響かせているだけです。内容そのものは、ベースの収録レベルが大き過ぎるのが難点ですが、マイルスのミュート・トランペットに包み込まれる、優しさを感じる内容です。ライブならではの点もありますが、それもまた楽しめるものです。



【エピソード、この日の放送、音源発売】

 資料07によればこの9月15日の演奏は、Mutural Radio Network での「Bandstand U.S.A.」という、7月7日に始まったばかりのラジオ番組で放送されたとのことだ。その録音は識者の間では知られた存在だったが、2008年に刊行された資料07には音源発売の記載はない。

 私が持っているブートレグCDは、2013年に発売されたものだ。

Domino Records 891221 (Miles Davis Quintet with John Coltrane / The Unissued Café Bohemia Broadcasts)

 資料07を補完している JCR(http://www.wildmusic-jazz.com/jcr_index.htm)によれば、このブートレグCDが、この1956年9月15日カフェ・ボヘミアの、最初の音源発売とのことだ。



【ついでにフォト】

tp05040-053

2005年 香港 


(2023年4月13日掲載)