19560605-12

Tadd's Delight (take 4)
(Tadd Dameron)   
(4分26秒)



【この曲、この演奏】

 資料14によればこの曲は、「ビ・バップ・エイジにユニークな作・編曲の才で異彩を放っていたタッド・ダメロンのオリジナル。バップ・ナンバーでもチョット違った味わいを持てるだけに、ハード・バップ・エイジにも魅力あるナンバーとして通用している」とのことです。

 資料07を見て意外だったのですが、コルトレーンのこの曲の演奏記録は本セッションだけです。そして資料08によれば、マイルスのこの曲の演奏記録も本セッションだけです。

 マイルス・バンドは本セッションで合わせて7回この曲を演奏しました。その4回目のテイクがこの演奏で、これがOKテイクとなり、アルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」に収録されました。

 さて演奏ですが、トランペットとテナー・サックスの重なりが心地よいテーマから始まり、マイルスのソロは軽く流したようなもので、コルトレーンのソロの口ずさみような演奏に聴く方はニヤリとし、ガーランドのソロを楽しんで再びテーマとなり演奏は終わります。軽く決めましょ、との打ち合わせで演奏が始まったのかなと、私は感じました。



【エピソード、あまりミュージシャンをけなさいコルトレーン】

 コルトレーンは一度も他のミュージシャンをけなしたことがなかった(おそらく友人たちとのあいだでは、そういうこともあっただろう。かりにそうだったとしても、彼らからそれが漏れたことはまったくない)。せいぜい次のようなたわいのないエピソードがあるくらいだ。

 コルトレーンがマイルスのもとを離れて、かなり経ったときのことだ。ある夜、ワシントンDCにあるボヘミアン・タヴァーンでのライブが終わったあと、WAMUというカレッジ向けラジオ局のディスク・ジョッキーをやっているエリック・クルバーグという男がコルトレーンに、「さきほどはクラブでオン・エア用のインタヴューに応じてくれて、ほんとうにありがとう。前にマイルスが来たときも頼んだんですが、断られました」と話しかけた。コルトレーンは「ああ、マイルスはときどき、ちょっと嫌なやつになるからな」と言った。
(資料03より)



【ついでにフォト】

tp10022-075

2010年 ペナン、マレーシア


(2021年12月21日掲載)