19560302-02

Stablemates (Benny Golson)  (5分53秒)



【この曲、この演奏】

 ベニー・ゴルソン作のこの曲は、1955年11月16日に行われたマイルスのプレスティッジ・セッション、通称「小川のマイルス」のセッションで演奏されました。それから4ヶ月後のこのセッションで、お馴染みの曲をもう一度となったのでしょう。

 コルトレーンのテナーでテーマとなり、最初のソロもコルトレーンです。緊張が伝わるマイルス・バンドの演奏も良いのですが、落ち着いてゆったりと演奏するここでのコルトレーンの良い味です。その後ソロがドリューのピアノ、フィリー・ジョーのブラシに乗ってのチェンバースのピッチカートに続きます。これらも陽気にリズムに乗ったものです。コルトレーンがテーマを吹いて、演奏は終わります。



【エピソード、ジャズ・ウェストについて その1】

 ジャズ・ウェストについての情報は限られたものである。本セッションを収録した12インチのアルバム Jazz West LP 7 「Chambers' Music - A Jazz Delegation from the East」の裏ジャケの記載事項によれば、このレーベルの住所は次の場所である。

5352 West Pico Boulevard, Los Angeles 19, California

 Googleマップで確認したところこの住所は、今は「Fairchild Tax Service」との看板が出ている。

 さらに裏ジャケに次の記述がある。

The entire production of this album was supervised by Herbert Kimmel.(このアルバムの制作は、全て Herbert Kimmel が指揮した)

 この Herbert Kimmel という人物をネットで調べたところ、このジャズ・ウェストのプロデューサーとして名前が書かれているページが見つかったが、この方については全く記述がない。あくまで私の想像になるが、 Herbert Kimmel なる方はジャズ好きが高じて、自身でレーベルを立ち上げたのであろう。これはごく短命で終わったジャズ・レーベルの典型である。

 さらに1927年生まれで2012年に亡くなった、南フロリダ大学の心理学の教授の名前がヒットした。これは別人であろうが、年齢的には「レーベルを作ったジャズ好き青年」に相応しい方だ。ジャズ好きで心理学者の道を目指していた青年が、LAでレーベルを立ち上げたが短命で終わり、その後は勉学に勤しみ、遠く離れた場所で大学教授になった、私はそんな物語を想像したくなった。



【ついでにフォト】

tp07016-006

2007年 アムステルダム、オランダ


(2021年12月11日掲載)