19560302-01

Dexterity (Charlie Parker)  (6分44秒)



【この曲、この演奏】

 この録音日のほぼ一年前(1955年3月12日)に34歳で亡くなったチャーリー・パーカーの曲を、このセッションの一曲目に演奏しました。コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。

 ドラムと一緒にコルトレーンの演奏でこの曲の幕が上がり、チェンバースとドリューが加わりテーマの演奏となります。最初のソロはチェンバースのピッチカートによるもので、リズム陣との陽気さが伝わってくるものです。そしてコルトレーンの楽しげな様子が伝わるソロ、さらにはブルースの粘り気も感じるドリューの陽気なソロへと演奏は続きます。

 コルトレーンとジョー・ジョーンズ、ドリューとジョー・ジョーンズの四小節交換を2回づつ繰り返し、コルトレーンのテナーの響きが印象的な後テーマとなり、最初の演奏は終わります。



【エピソード、チェンバースのリーダー・セッションへの参加】

 このセッションは、コルトレーンがマイルス・バンドに加入してからの、3回目のスタジオ録音となる。マイルス・バンドでコロンビアへの1955年10月26日「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」1回目セッション、プレスティッジへの1955年11月16日「(通称)小川のマイルス」セッションに続くのが、このポール・チェンバースのジャズ・ウェストへのセッションへの参加だ。このセッションにコルトレーンが呼ばれたのはマイルス・バンドでのチャンバースとの関係なのであろうから、その意味では3回ともマイルス関連のレコーディングとも言えるだろう。

 コルトレーンは、ポール・チェンバースのリーダー・セッションに、合計3回参加している。最初がこの日のジャズ・ウェスト・セッション、二度目は1956年4月20日のトランジション・セッション、そして三度目が1956年9月21日のブルー・ノート・セッションである。

 その中でこのジャズ・ウェスト・セッションとトランジション・セッションは、長らく幻の演奏であった。



【ついでにフォト】

tp07016-009

2007年 アムステルダム、オランダ


(2021年11月30日掲載)