2006年7月27日掲載
Sonny Rollins          Way Out West
Contemporary原盤    1957年3月録音

 1956年のロリンズは、結構充実した年でありました。前半は、評価は別にしてブラウニー~ローチ・クィンテットでの活動、世紀の名盤の吹込み、モンクとの共演、ブルーノートへの吹込み開始等などであります。そしてそれらのどれもが、50年が経過した今でも、世界中で愛されているものなのです。

 そして1957年の最初の吹き込みは、コンテンポラリーへのもの。LAに渡っての吹込みですので、このタイトルとなったのでしょう。ロリンズたっての希望で、ベースとドラムを入れたトリオでの演奏になりました。しかもそのメンバーは、西海岸のトップ・ミュージュシャンでありました。レイ・ブラウンにシェリー・マンであります。

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 プレスティッジへの契約終了後、1956年から1957年にかけて、ロリンズは様々なレーベルへ録音を行いました。一説には、離婚による慰謝料稼ぎが目的だったそうです。

 そんな様々なセッションの中で、このコンテンポラリーへの録音は、素直な自分を曝け出したいとの想いが、ロリンズにあったのではないでしょうか。BNやリバーサイドへの録音では、いろんなミュージュシャンとの組み合わせが用意されている中で、様々な色合いを加えての演奏が要求されていったのかも知れません。それはそれでロリンズの新たな展開を促進したものです。

 しかしロリンズは、シンプルな表現をしてみたかったのでしょう。トリオというシンプルな形態で、『I'm an old cowboy』といったような、幼い頃から染み付いているようなメロディに、この作品で取組んでおります。そしてその上に、レイ・ブラウンとシェリー・マンという大物達との初共演という要素が、加わりました。この3人でのスタジオ作業は熱気を持ったものとなり、24時間以上寝ていないことになるレイ・ブラウンとシェリー・マンは、そんなことを忘れて演奏に没頭していたそうです。

 僕の中では、繰り返し聴くロリンズ作品ではありませんが、この時のロリンズの最良の姿を聴ける作品として、記憶されていくものになっています。