2007年8月28日掲載
Stan Getz      at Storyville
Roost原盤      1951年10月録音

 以前に、「The Complete Roost Session Vol.1(The Sound)」と「The Complete Roost Session Vol.2(Split Kick)」という作品を取り上げました。ゲッツがプレスティッジでの輝かしい時代に続いて、ルーストに残した演奏を集めたものです。

 そして今日取上げるのは、ルーストに残したボストンでのライブ作品。先の2枚とダブってなさそうなので、紹介します。恐らくは先の2枚は、スタジオ録音集だったのでしょう。このライブはクィンテットでの演奏で、ジミー・レイニー(g),アル・ヘイグ(p),テディ・コティック(b),そしてタイニー・カーン(d)が参加しております。

20070828

 「ゲッツの詩情豊かなプレイは、リリカルで澄んだサウンドを持っており、スムーズな流動美を備えたメロディー・ラインに、一世を風靡するに足りる魅惑的な世界を生んでいた」とは、1990年に買った国内CD盤での佐藤秀樹氏の解説です。こんな表現が思いつくならば、このコーナーも、少しは充実したものになったものでしょう。

 さて、この佐藤氏の表現がピッタリの演奏が、このライブ盤に収められております。白眉は、ロジャースとハートが作った、『thou swell』でしょう。この曲はベニー・カーターの演奏や、エラやブロッサム・ディアリーの歌で、有名なスタンダード。しかし、僕には余り馴染みのなかった曲。ゲッツの歌心と、クィンテットのまとまりで、幸せな気分になれた演奏でした。