2004年8月24日掲載
Don Rendell - Ian Car     Shades Of Blue
Columbia原盤                  1964年10月録音

 このドン・レンデル-イアン・カー双頭クィンテット復刻盤は、今年の4月に大きな話題になりましたね。渋谷ジャロの店主は、僕の意向を聞くことなく、この盤を確保しておいてくれました。

 双頭リーダーの一人であるドン・レンデル(sax)の1954年録音盤を取り上げた際にも、この双頭クィンテット作品を聴いてみたいと書いたのですが、それから3年経って実現致しました。
 今日取り上げるのは、最初の作品。Colin Purbrook(p),Dave Green(b),Trevor Tompkins(d)が加わっております。

20040824

 ゆったりと流れる空間を描きだすのが、本作品のテーマであろう。レンデルのサックスとカーのトランペットの協奏が、ゆっくりながらも刻々と表情を変えていくうねりを描いている。聴く側は、ゆったりしながらも常に刺激を感じている。

 レンデルの1954年作で、その演奏スタイルをゲッツだと僕は評した。それから10年の歳月で、コルトレーンの薫りが強く加わってきている。その意味ではレンデルは、ジャズ本場のアメリカの動きを、積極的に吸収してきた方と言えるであろう。

 全8曲中レンデルは4曲の自作を用意しており、どれも水準の高い曲だ。しかし、前述の雰囲気が高いレベルで結晶しているのは、タイトル曲であろう。

 この時期のイギリスのジャズ界が、ハード・バップからの転換を図っている姿を堪能出来る1枚である。