2004年7月11日掲載
Tubby Hayes      Tubbs
Fontana原盤        1961年3月録音

 欧州ジャズの愛好家と言えば、あるお店の常連だった3人の方をすぐに思い浮かべます。欧州ジャズをこよなく愛し、オークションで貴重盤を次々に入手していたお方。イギリス人の入った作品ばかりを、集めていたお方。そして、ピアノ・トリオばかりを集めていたお方、この3名です。

 昨今の欧州ジャズ・ブームは2種類あり、一つは美旋律ピアノ・トリオのブームであり、これが主でしょう。もう一つが、以前からの欧州ジャズ名盤の再発ブームと言えます。

 このピアノ・ブームには、前述の3人集の後者のお方が、関わっております。

 そして欧州ジャズ名盤ブームは、1998年にジャズ批評社から出版され、僕もこのコーナーでネタ本にしている「ヨーロッパのジャズ・ディスク1800」を契機にしたものだと、星野秋男氏は述べています。その意味では、前述の3人集の最初の方が、この欧州ジャズ名盤の再発ブームに、関わっていることになります。

 さて本日取り上げる作品は、タビー・ヘイズがフォンタナと契約した最初の作品になります。全9曲中、2種類のオーケストラで5曲演奏。テリー・シャノン(p),ジェフ・クライン(b),ビル・エイデン(d)というクァルテットで、残りの4曲を演奏しております。

20040711

 テナー・サックスのヘイズ,ヴァイブのヘイズ,コンボでのヘイズ,そしてオーケストラを率いるヘイズと、多彩な側面がヘイズにはある。それらに根ざしているのは、ハード・バッパーとしてのヘイズである。この作品では、多彩なヘイズが全て聴ける内容だ。

 その中で僕にとって光ったのは、テナー&コンボでのヘイズだ。特に自作曲。アップ・テンポの「the late one」、ミドル・テンポでの「R.T.H」でのヘイズのテナーを聴いて痺れるというのは、この作品を聴いた大方の感想であろう。