2002年5月28日掲載
Stan Getz
The Complete Roost Session Vol.1(The Sound)
Roost原盤    1950年5月録音

 ゲッツ大好きという訳ではないのだが、このコーナーでゲッツを取上げるのは10枚目です。

 ゲッツは1950年から1952年にかけてルーストに吹き込みを行ったのですが、1978年にその全容が2枚の作品でこの世に出たのです。これは、その1枚目。

 では吹き込み直後の発売はどうなのかと言えば、SPや10吋などで発売され、その中にこの第1集で使われているジャケットで「ザ・サウンド」という作品もありました。しかしながら、その「ザ・サウンド」には何故かメトロノーム原盤の曲が収められており、従って今日取上げるこの1集目には「完全ルースト集」ということで、それらは収められておりません。

 これがコルトレーンならばその辺りの情報は徹底把握する僕なのですが、ゲッツということで、適当に文献を読んで知ったことです。

 さて、内容。2つのセッションが含まれております。アル・ヘイグ,トミー・ポッター,ロイ・ヘインズとの演奏。そして、ホレス・シルバー,ジョー・キャロウェイ(b),ウォルター・ボールデン(d)との演奏です。

20020528

 ちなみに、ホレス・シルバーの初吹き込みにあたるとか。

 ヘイグとのセッションから半年後に吹きこまれたシルバーとのセッションにおけるゲッツは、フレージングに自信を感じられるもの。20代前半のプロ活動の半年というのは、大きな進歩があるのだと実感した次第。

 どちらのセッションでも心温まるゲッツのテナーなのですが、今日聴いて聴き惚れたのはヘイグとのセッションでの「風とともに去りぬ」なんだな。ゲッツの優しさ満開のテナーが、素敵ですよ。ゲッツはこの曲を、晩年の名盤「ピープル・タイム」でも好演しており、ゲッツ好みの曲なんでしょうね。

 ちなみにこの「風とともに去りぬ」、映画で使われたのとは別の曲とか。映画のは「タラのテーマ」という名で知られているようですが、この「風とともに去りぬ」は映画に触発されて書かれた曲なのです。