2000年1月3日掲載
Bill Charlap       'S Wonderfull
Venus原盤          1998年12月録音

 去年一番売れた新譜になるのかな、これは。ジャケットがセンスも良いよね。恐らくはこの作品のために撮られた写真ではないと思いますけどね。ビル・チャーラップというピアニストは、クリス・クロスの作品で僕は初めてその演奏に触れましたが、1980年代にはジェリー・マリガン、1990年代にはフィル・ウッズのバンドで活躍された人です。ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(d)という売れっ子が、バックを務めており、タイトル曲を始めとするスタンダードが10曲収録されています。スィング・ジャーナルのゴールド・ディスクということで購入を敬遠していましたが、紙ジャケ発売で遅れ馳せながら購入しました。

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 確実でゆったりしたピアノです。確実というのは、ピアニストとしてのツボというか聴かせ所をしっかりと押えているが、目立つ部分はないことです。ゆったりというのは、文字通りゆったり。しかしこれは、ゆっくりではないので すよ。“my shining hour”では、両ワシントンのベースとドラムの、軽やかなハイ・テンポの バッキングに乗って、チャーラップはそれとピッタリと息を合わせてます。しかしながら、ゆった りと響いています。ここら辺りが、彼の味ですかね。それと独特の間。メロディやアドリブを効果的に聴かせる間の取り方を、実に良く心得ています。“isfahan”では、やり過ぎですけどね。 1曲目の“time after time”、ここにこの盤で聴ける彼の魅力が集約されています。