1999年4月17日掲載
Ornette Coleman      free jazz
Atlantic原盤               1960年12月録音

 自分で選びながら、これを紹介するのは体力がいるな。8人で演奏しているからオクテットになるはずが、ダブル・カルテットなのです。オーネット、ドン・チェリー、スコット・ ラファロ、ビリー・ヒギンズが左のスピーカーからのカルテット。エリック・ドルフィー、フレディ・ハーバード、チャーリー・ヘイデン、エド・ブラックウェルが右から聞こえるカルテット。この二つのカルテットが同時に40分近い1曲を演奏するのです。この8人はその後のジャズを背負って立ったと言っても過言ではないですよね。久しぶりに聞くのが楽しみと言おうか恐いと言おうか、複雑な気分です。

19990417

 ピュヤー、シュルレー、ビヤボヤーとアルトとペットの思い思いのソロが、ジュジューンと出てくる。アルト、ペット、ベース、ドラムの順番 で、ドルフィー軍団からソロが展開されます。各ソロの変わり目に全員揃ってのテーマ演奏。こう書くと1970年代にヨーロッパで吹き荒れた出鱈目フリー・ジャズを思い出すかもしれませんが、ここでは心配無用。何のためのソロ演奏かをみなさん心得ている。一つのテーマメロディを題材に互いに触発されながら即興で演奏を組みたてていき、ビ・バップからの即興演奏の一つの集大成をつくり、新たな即興演奏の可能性を探る、僕の理解はそんな感じです。各自のソロ自体を聞くと楽しさ、悲しさ、憂いを感じ取ることが出来ます。またこの録音以降の各自の活動を今我々は振り返 られるのですが、このセッションから導き出したものが多分にあります。この欄でもその成果を今後も取り上げていきます。ホーンに主眼を置いて書いてきましたが、後半のベースとドラムの展開は、映画音楽につかってもおかしくない物語を感じさせるものですよ。聞いているだけで、心地よい疲れを感じ、汗をかきました。