Roy Haynes
Out Of The Afternoon

録音日 1962年5月17日(ジャケ記載データ)
Fly Me To The Moon が収録されている作品をつまみ食い

つまみ食い前

 90歳を過ぎた今でも現役バリバリのドラマーであるロイ・ヘインズのこの有名盤を「今日の1枚」で取上げたのは、1999年1月19日のことでした。
 その際に私はロイさんのことを「サイドで光る人」として、リーダーであるロイさんの実力をあまり評価せず、ゲスト参加のローランド・カークを褒めることを述べてしまっておりました。今考えれば恥ずかしい限りのことです。今回はロイさんの演奏、そしてリーダーとしての存在感を中心に聴いてみます。

 さて「Fly Me To The Moon」は、もとは「In Other Word」という曲名のワルツでした。1962年にジョー・ハーネルがボサノバ調で演奏し、タイトルを「Fly Me To The Moon」変えて発表し、ヒットさせたのでした。一説には当時のロケットでの月探査の盛り上がりに便乗しての、曲名変更だったとの話もあります。

 この曲をロイさんがどのように演奏しているか、聴いてみます。

pfm01

つまみ食い後

 この録音時期はカークはマーキュリーに所属しており、インパルスの名物プロデューサーのボブ・シールとしてはカークの録音が欲しかったのは事実でしょうから、ロイさんの名前を使ったリーダー・セッションを用意したとの見方は正解なのでしょう。

 やはりカークのブルース魂が爆発した1枚になっています。しかしながら、ロイのバッキングの上手さと、リーダー作ならではのいつもより前面に出たドラム演奏には、聴き入ることが多いです。カークもこのロイの演奏に乗っての快演だったのでしょう。

 「Fly Me To The Moon」ですが、ボサノバ調ではなく、三拍子ながらアップ・テンポでの演奏になっています。この録音時点ではジョー・ハーネルがヒットさせる前であり、単に隠れたスタンダードとして取上げたのでしょう。そしてこの作品を発売する時点ではジョー・ハーネルがヒットさせていたため、曲名を「Fly Me To The Moon」としたのだと思います。

 兎に角ワルツでのロイの演奏は、実にスリリングなものです。

(掲示板掲載 2017年6月12日から3日間)