19641209-08

Resolution (John Coltrane)  (7分19秒)



【この曲、この演奏】

 7回目のこのテイクが本テイクとなり、名盤「至上の愛」(A-77)に収録されました。

 ベースの演奏から始まり、カルテットでのテーマに入ります。このテーマでのコルトレーンの語り口には、真剣な深い気持ちを一刻も早く言いたいとの印象です。そしてマッコイのピアノ・ソロになっていきますが、軽やかに運びの演奏ながら、コルトレーンとの意思を引き継いだかのような響きがあるものです。そしてコルトレーンのソロ、この演奏はカルテットのドライブ感の圧倒さの中でのコルトレーンを味わえます。後テーマとなり、「決意、誓い」の演奏は終わります。



【エピソード、至上の愛の構想、コルトレーンの瞑想 その2】

 こうして彼は意思にでも変わったかのように沈黙したまま身じろぎ一つせずにすわり続けた。何十分も、何時間も。彼の心と肉体は一時的に存在を停止し、そこに感じられるものがあるとすれば、純粋な魂のみが感得できる完全な自由にちがいない。

 瞑想はますます深まり、いまだかつて経験したことのない長時間にわたって続けられた。ただひたすら神の言葉を待っていた。彼の心を満たしてくれるものはそれしかなかったのだ。

 完全な静寂があたりを支配している。

 突然、彼のまわりの空間に、そして彼の内部に音楽が充満しはじめた。さまざまなメロディとハーモニーとリズムが渾然として彼の意識の中で統合されてゆくのだ。これこそ、神の言葉にちがいない。至上の存在に対して敬意を払うために作曲をするようにと、神はコルトレーンに命じておられるのだ。そのとき彼が受け取った感情は、日常の感情とは全く別の感情であり、彼に対して与えられたメッセージはとても言葉ではいい表せないものなのである。

 この歓びと憂うつという相反する二つの感情のかたまりとともに深い瞑想を終えたコルトレーンは、その瞬間から自分が作曲する曲は、すべてこの互いに矛盾する二重性を反映していることを知りはじめる。音楽のみならず生活そのものも、この二重性を反映しているのだ。

 後日、彼自身その経験について告白している。「そのとき初めて、自分が作曲するアルバムのすべてを確認したのだ」

 「ア・ラヴ・シュプリーム」は、コルトレーンの神への献曲としてその年の十二月にレコーディングされた。このアルバムは、彼の言葉によれば、「神に捧げられたささやかな贈りもの」なのである。(資料01)



【ついでにフォト】

tp04008-032

2004年 香港

(2021年6月12日掲載)