19611103-05

Greensleeves (traditional)  (5分2秒)



【この曲、この演奏】

 二日目に続いて、「グリーンスリーヴス」を取り上げています。

John Coltrane(ss)
McCoy Tyner(p)
Reggie Workman(b)
Elvin Jones(d)

 メンバーと使用楽器は二日目と同様であり、コルトレーンはソプラノ、ドルフィー抜きのカルテットでの演奏です。

 さて演奏ですが、二日目と比べると1分ほど短い演奏です。これはテーマ後のコルトレーンのソロが、この三日目には省かれているからです。その他の構成は二日目と同様であり、聴き所は次の点でしょう。コルトレーンがソプラノでこのスコットランド民謡のメロディを自分のものにしていく姿、そしてエルヴィンとマッコイの相性の良さがでてきていることです。

 この演奏は1979年に世に出ました。



【エピソード、コルトレーンが語るエルヴィンとベース奏者】

 資料04には、1961年11月18日にパリ滞在中のコルトレーンが、フランソワ・ボスティフからのインタヴューがあり、そこでエルヴィンとベース奏者について、次のようにコルトレーンは語っている。

 「最初の頃は、エルヴィンのプレイにとても戸惑った。あんなドラムは聴いたことがなかったから、受け入れるのに苦労した。今ではもう彼のプレイに夢中だよ。彼に必要なのは、”自然のように力強い”ベーシストだ。というのも、彼のラウドなプレイに対しては同じようにラウドに応じないと、音がすべてかき消されてしまう。エルヴィンと一緒にやるベーシストには柔軟性も求められる。彼はよくビートに先乗りしてプレイするからね。だから彼について行きつつ、次の一手を読まないといけない。とても難しいことだ。今のところそれをできるベーシストは一人も知らない。ウィルヴァー・ウェアならたぶん可能だろうが、彼は彼で、やっぱり手に負えないくらい優秀だからね」


 11月後半から二週間の欧州楽旅では、コルトレーン・バンドのベース奏者はレジー・ワークマンだけであった。コルトレーンのこの発言の中のベース奏者にはワークマンが入っているのであろうが、ヴィレッジ・ヴァンガード四日間で共演したジミー・ギャリソンも入っているのかは分からない。いずれにしてもコルトレーンが述べた「自然のように力強いベーシスト」に、ジミー・ギャリソンがこれからなっていくのだ。(マハール)



【ついでにフォト】

tp10003-158

2010年、マレーシア ペナンでのタイプーサム

(2021年1月30日掲載)